元奴隷の悪役令嬢は完璧お兄様に溺愛される

「うん、温まったみたいだね。薬を飲んで寝ようか」
「ユリウスさま、公爵様、ありがとうございます……私、こんなことしていただくの、はじめてで……あの、あの……」

 レインがもじもじと体の前で手を握る。
 それを優しく見下ろして、ユリウスとアンダーサン公爵は笑った。

「いいんだよ、レイン。君が受けるべき当然の待遇がこういうものなのだから」
「薬湯をお飲み、レイン。はちみつを入れて甘くしてあるから、少しは飲みやすいはずだ」

 ユリウスが柔らかくレインの髪を撫で、アンダーサン公爵がマグカップに入った琥珀色の薬湯を差し出してくる。
 少し甘苦いそれをゆっくり、ゆっくりと飲みほすと、おなかの中がポカポカしてきた。
 瞼がゆるりと重くなる。

 まもなく、広い広い天蓋付きのベッドにうつされたレインは、優しく髪を撫でられながら、うとうととまどろみの中に入り込んだ。

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