元奴隷の悪役令嬢は完璧お兄様に溺愛される
 その言葉は、レインの耳に届くことなく――静かに夜の闇に吸い込まれて消えていった。
 この後、レインはアンダーサン公爵家の養女として、正式に受け入れられることとなる。
 今まで触れたことのないやさしさに包まれながら、レインは公爵家の長女として育つ。

 そうしているうちに、風のうわさで、タンベット男爵一家が断罪されたと聞いた。
 けれどレインの生活は、そんな噂で波風を立てられるものではなく、どこまでも穏やかで、優しいもののままだった。

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