元奴隷の悪役令嬢は完璧お兄様に溺愛される
暁の虹、とは、王家の人間に受け継がれる特異な虹彩のことだ。普段は赤い色をしているが、陽の光が当たった時だけ虹が浮かぶその不思議な虹彩を、その特徴の通り、暁の虹、と呼んだ。
王家に出る特徴、とは言っても、全員に出るわけではない。ある王の子全員に出た記録もあれば、三世代わたって一人も現れなかった記録もある。王籍をはずれたものの子孫には現れないことも有名な話だ。その虹彩を宿したものは名君であることが多く、それをもって王家の証、ではなく王の証、と呼んでいる。
先代女王の目にも、暁の虹が宿っていた。
「かわいい……」
「だろう? 私とあの人の子だからね。世界一かわいいお姫様だよ」
こわごわと触れた頬は柔らかく、ふくふくと赤くて、まるでリンゴのようだった。
そしてまつ毛は長く、薄青い髪は柔らかでつやつやしていて、先代女王の言葉通り、ずば抜けて美しく、かわいらしい赤子だった。
王家に出る特徴、とは言っても、全員に出るわけではない。ある王の子全員に出た記録もあれば、三世代わたって一人も現れなかった記録もある。王籍をはずれたものの子孫には現れないことも有名な話だ。その虹彩を宿したものは名君であることが多く、それをもって王家の証、ではなく王の証、と呼んでいる。
先代女王の目にも、暁の虹が宿っていた。
「かわいい……」
「だろう? 私とあの人の子だからね。世界一かわいいお姫様だよ」
こわごわと触れた頬は柔らかく、ふくふくと赤くて、まるでリンゴのようだった。
そしてまつ毛は長く、薄青い髪は柔らかでつやつやしていて、先代女王の言葉通り、ずば抜けて美しく、かわいらしい赤子だった。