誰も知らないもうひとつのシンデレラストーリー
「お前、何をしている」
この町で暮らす人は皆知り合いのはずなのに、聞いたことのない声に、少女は息を止めます。
よりによって、普段はあまり通らない裏道。
人通りが少なく何となく不気味なその道で、恐怖の混じる息を小さく吐き出し覚悟を決めて振り返りました。
そして、目に映った光景に今度は大きく目を見開きます。
「…お、王子…様……」
先程の御一行をほんの少しかなりの遠目で見ただけの、ほぼ一度も見たことがない御方なのに、
すぐに王子様と分かってしまう程の、整った身なりに醸し出す高貴なオーラ。
そして、切れ長の目にすっと通った鼻筋は、この世の物とは思えないほど綺麗な顔立ちでした。
思わず呟いてしまった言葉を慌てて飲み込み、その場に跪きます。
どうしよう、正解が分からない。
家来も付けずたった一人で突然目の前に現れた王子様に少女は知っている限りの全ての敬意を示しました。
「わ、私のようなものが、偶然とは言え、王子様の、え、えっと、ご尊顔を拝するなど…
えっと、えっと…誠に申し訳ございません…っ」
殺されてもおかしくない。
そんな考えが脳裏を過ぎり、少女はギュッと目を閉じました。
重く苦しい沈黙の後、王子様は、小さく息を漏らしました。
この町で暮らす人は皆知り合いのはずなのに、聞いたことのない声に、少女は息を止めます。
よりによって、普段はあまり通らない裏道。
人通りが少なく何となく不気味なその道で、恐怖の混じる息を小さく吐き出し覚悟を決めて振り返りました。
そして、目に映った光景に今度は大きく目を見開きます。
「…お、王子…様……」
先程の御一行をほんの少しかなりの遠目で見ただけの、ほぼ一度も見たことがない御方なのに、
すぐに王子様と分かってしまう程の、整った身なりに醸し出す高貴なオーラ。
そして、切れ長の目にすっと通った鼻筋は、この世の物とは思えないほど綺麗な顔立ちでした。
思わず呟いてしまった言葉を慌てて飲み込み、その場に跪きます。
どうしよう、正解が分からない。
家来も付けずたった一人で突然目の前に現れた王子様に少女は知っている限りの全ての敬意を示しました。
「わ、私のようなものが、偶然とは言え、王子様の、え、えっと、ご尊顔を拝するなど…
えっと、えっと…誠に申し訳ございません…っ」
殺されてもおかしくない。
そんな考えが脳裏を過ぎり、少女はギュッと目を閉じました。
重く苦しい沈黙の後、王子様は、小さく息を漏らしました。