誰も知らないもうひとつのシンデレラストーリー
ドアの骨組みにぶつかりそうな高身長に、すらっと長い手足、小さな顔。

遠目に見ただけで驚いてしまうようなスタイル。


そして、その横顔が真正面を向いた途端に、女子生徒の黄色い歓声が沸き上がる。


「はじめま………」


「きゃあああ!!」

「え、かっこよすぎない!?」

「待ってどうしよう、好きかも」


女子高生らしい元気な声と共に、男子生徒からもどよめきの声が上がる。


「あれは、やばい、男から見てもヤバい」

「まじか…もはや芸能人だろ」


挨拶を聞く気もない生徒たちに、先生はなぜか満足げな顔をしていた。

想定通りの盛り上がりで、嬉しかったのだろうか。


そして、その話題の中心の転校生も、面白そうに笑っている。


私は、転校生のその表情をじっと見つめていた。


余裕そうな反応…。


こんな容姿を持って産まれたんだもん。

さぞ騒がれ慣れているに違いない。


こんなにも注目されているのに堂々としているその姿は、私には到底信じられないもので。

さっきの同情は馬鹿馬鹿しいほど無駄なものだったと思い、小さく嘲笑を零す。

そして、また別世界の人が転校してきたなぁ、と他人事に思いながら頬杖をついた。
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