誰も知らないもうひとつのシンデレラストーリー
また盛り上がり始めたクラスを横目に、
私は、静かに、思い出した小説の文面を口にした。
「姫を置いて去っていく王子様は、すれ違いざま姫にだけ聞こえる声でそっと一言囁きました。」
ただの独り言のつもりだったそれは、しっかりと、隣にいた王子様に拾われた。
「あれ、抱きしめたと思ったんだけど、すれ違いざまだった?」
クラスメイトには聞こえないような声で、落とされた言葉。
そのいたずらな笑顔に、私は隣に立つ皇輝を見上げる。
「うん。あと、あんな風にはっきりと、王様に伝えてくれなかった。」
「それは…いいじゃん、本当は、あんな風に伝えるつもりだったんだよ」
少し意地悪を返せば、皇輝は、気まずそうに目を逸らす。
そして、同時に二人で笑った。
「ひめ」
優しすぎる、その声に、再び皇輝を見上げる。
その美しい瞳が私を捕え、私は、温かく幸せな感情に包まれた。
皇輝はそっと私の横にしゃがみ、手を握った。
そして、物語の続きを、口にする。
+.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.+.。.:*
「迎えに来たよ。やっと、出会えた」
+.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.+.。.:*
私は、静かに、思い出した小説の文面を口にした。
「姫を置いて去っていく王子様は、すれ違いざま姫にだけ聞こえる声でそっと一言囁きました。」
ただの独り言のつもりだったそれは、しっかりと、隣にいた王子様に拾われた。
「あれ、抱きしめたと思ったんだけど、すれ違いざまだった?」
クラスメイトには聞こえないような声で、落とされた言葉。
そのいたずらな笑顔に、私は隣に立つ皇輝を見上げる。
「うん。あと、あんな風にはっきりと、王様に伝えてくれなかった。」
「それは…いいじゃん、本当は、あんな風に伝えるつもりだったんだよ」
少し意地悪を返せば、皇輝は、気まずそうに目を逸らす。
そして、同時に二人で笑った。
「ひめ」
優しすぎる、その声に、再び皇輝を見上げる。
その美しい瞳が私を捕え、私は、温かく幸せな感情に包まれた。
皇輝はそっと私の横にしゃがみ、手を握った。
そして、物語の続きを、口にする。
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「迎えに来たよ。やっと、出会えた」
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