【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
危険な藍くんの手に堕ちて
「キスくらいで泣いてるんじゃねぇよ」
唇を離した彼は、わたしの頬を濡らす一筋の涙の跡を拭うでもなく、押し倒したわたしを温度のない瞳で見下ろし、艶のある声でそう言い放つ。
それからネクタイを緩めながら、妖しく口角をあげた。
「お前の泣き顔そそるな。もっと泣かせたくなる」
抵抗しないのは、わたしには抗うことのできない本能のせい。
――ああ、まさかこんな危険でクズな貴方の手に墜ちてしまうなんて。
< 1 / 296 >