【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
「ふたり、今日もラブラブだね。憧れちゃうなあ」
思わず心の声が漏れちゃう。
ふたりの仲いい姿を見ていると、わたしもそういう存在がほしいとそう憧れずにはいられない。
すると、瑛麻ちゃんが猫のようにぱっちりな瞳で私を見つめた。
「こんな超絶可愛いゆるるんに彼氏がいない方がおかしいと思うけどね」
「うんうん。俺も同意」
「そんな、わたしなんか!」
両手を胸の前で振りながら、ふとある人の顔が頭に浮かぶ。
孤独な夜に、わたしの手を握っていてくれた、あの人の顔が。
……でも。
ないない、そんなわけない……!
わたしは無理やりその人の残像を頭の中から追い出すように振り払った。