【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない

「よう」


振り返れば、藍くんがそこにいた。


グレーの濃淡で描かれた縞模様の浴衣を身に包んだ藍くんは、いつもと違う雰囲気をまとっていてかっこいい。

和服までこんなに着こなしてしまうなんて、なんだかずるい。


「えっ、藍先輩じゃないですか!」


わたしの声に、隣の屋台を見ていた瑛麻ちゃんが気づく。


「あああああ藍先輩!」


藍くん信者の流星くんは、緊張と興奮ですっかりかちこちだ。


「どうしてここに? っていうか浴衣姿、似合いすぎです……!」


瑛麻ちゃんが目を輝かせて早口でまくしたてる。
< 115 / 296 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop