【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
髪は、ここに来るまでにほつれてしまっていた。
せっかく瑛麻ちゃんにセットしてもらったから惜しい気持ちもあったけれど、仕方なく髪をほどく。
濡れた髪が背中に触れた。
「とりあえずシャワー浴びるか」
「え?」
髪をほどいていたわたしは、その声に藍くんを振り返る。
と、そこにいた藍くんの姿に、どきりと心臓が跳ね上がった。
だって、藍くんの色気が大爆発していたのだ。
水の滴る濡れた髪も、浴衣から覗く鎖骨も、濡れて白い肌に張り付く浴衣も。
いつもより10倍増しで色気が溢れていて、なんだかいけないものを見ているようで目のやり場に困ってしまう。
「身体、冷えてるんだろ。由瑠が先に入れ」
「え、あ、うんっ……」
思わず見惚れていたわたしは、藍くんの声に我に返り、ばっと勢いよく視線をそらす。