【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
「いたた……」
身体を起こしたわたしは、ふとそこではっと息をのむ。
だってわたしの下に、藍くんがいたのだから。
わたしが藍くんの上に覆い被さり、押し倒したような体勢になってしまっている。
慌てて藍くんの上から飛び起きようとしたわたし。
けれどそれより先に藍くんの手がわたしの腕を掴み、動きを制止される。
「由瑠。なんで俺がずるいの」
まっすぐにわたしを見上げ、問いかけてくる藍くん。
うう……。
藍くんにそんなふうに見つめられて、本音を隠すことなんてできない。
「だって……藍くんはいつも余裕だから……」
暴れまわる自分の心臓の音を聞きながら消え入るような声を振り絞ると、藍くんは驚いたように目を見張った。