【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
けれどわたしはというと、急激に込み上げる後悔に襲われて。
わたし、なに言ってるんだろ……。
余裕なんて、そんなの当たり前だよね。
だって藍くんはわたしのフェロモンが暴走しないように、発散させる相手をしてくれているだけなんだから。
ぐるぐる後悔の渦に巻き込まれそうになったわたし。
けれど藍くんは直向きな瞳でわたしの瞳を貫いたまま、つぶやいた。
「……全然余裕なんかねぇよ」
「え……?」
それは静かな空気に吸い込まれてしまうほどあまりにささやかな声で、拾い取ることができず、わたしは首を傾げる。