【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
そして数分ほど走り、辿り着いたのはマンション。
お付き合いもしていない男の子の住まいになんて本当に足を踏み入れていいのだろうかと、少し戸惑いながらマンションを見上げていると、そんな逡巡も与えないというように密さんがマンションの中層階あたりを指さす。
「オレんち、あそこの4階だから。着いてきて」
「は、はい……」
いや、でも藍くんの友人である密さんの住まいなら問題ないのだろうか……と首を傾げながら、密さんの後を着いてマンションのエントランスに入りエレベーターに乗る。
そしてついに、部屋の前まで来てしまった。
「ちょっと待ってね」
ドキドキしながら部屋の前で立っていると、密さんがドアを開け「おーい、戻ったぞー?」と室内に向かって声を投げながら、わたしを部屋の中へと促す。