【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
顔を両手で覆った時、ふとわたしの右手が剥がされた。
「ゆる、怪我してる……」
藍くんが剥がした右手を見れば、人さし指の先から出血しているのに気づいた。
きっとさっき薬味を切っている時に、包丁で切ってしまったのだろう。
「あ、ほんとだ。でもだいじょ……」
不意に自分の声が途切れた。
わたしの人さし指を、藍くんが赤い舌先でつーっと舐めたからだ。
「ひゃっ」
自分のものとは思えないほど高い声が漏れた。