【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
「藍くんに……」
「藍先輩に!?」
「キス、されたり……」
言いながら、ぷしゅーっと顔が赤くなる。
一気に昨日の記憶がよみがえってきたせい。
「ちょっと、襲われちゃってるじゃん! ほら!」
焦ったそうに言うと、瑛茉ちゃんがポケットを探り、手のひらサイズのコンパクトミラーを取り出してわたしに向けてくる。
見れば、鏡の中にはわたしの首筋が映り、そこに赤い痕のようなものが浮き出ていた。
こんなものができていたなんて、髪に隠れていたせいかまったく気づかなかった。