【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない




数学の授業が終わって、昼休みがやってきた。


わたしは購買部から教室へ戻る廊下を、逸る足取りで歩いていた。

腕の中に大切に抱えているのは、買ってきたばかりの焼肉弁当。


今にもスキップしたい気持ちをこらえているのは、あくまで焼肉弁当のため。

少しでもこの焼肉弁当を揺らさないためだ。


550円もするこの豪華な焼肉弁当をどうして抱えているかといえば、昨日のバイトで臨時収入があったから。

いつも頑張っているからと、ささやかなボーナスが出たんだ。


そしてわたしはずっと手の届かない夢であった購買部の焼肉弁当を、ついにゲットしたのだ。


ああ、早く食べたい……!

絶対ほっぺた落ちちゃうよ……!
< 156 / 296 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop