【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
浮き足立ちながら、瑛麻ちゃんが待つ教室へ向かう。
そして階段を上がり、教室のある2階の廊下を歩いていた、その時。
「あ、やばい。弁当忘れた……!」
突然、前を歩いていた男子の集団の方から、そんな声が聞こえてきた。
焼肉弁当から何気なく顔を上げれば、体育終わりらしく体育着に身を包んだ男子ひとりが慌てたように立ち止まったところで。
「まじかよ。やらかしたな」
「食堂行くしかねぇな」
「うわー、体育で体力使い果たしたのにな……」
そんなやりとりを聞きながら、わたしの視線はといえば腕の中の焼肉弁当に向かっていた。
こんなタイミングで、困っている人を目の前に、わたしはお弁当を抱えている。