【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない

その瞬間、わたしはあまりの衝撃に失神しそうになった。

なにを隠そう、振り返ったのがわたしの推しである、神崎くんだったのだから。


どうしよう……!

お、推しに話しかけてしまった……!


「え?」


神崎くんの瞳にわたしが映っていることに気づき、一瞬で後悔が込み上げてくる。

見ず知らずの他人からお弁当を分けるなんて言われても、やっぱり迷惑だったかもしれない。


「す、すいません、差し出がましいこと言って……! 忘れてください……っ」


顔から火が出そう。

穴があったら入りたい……!


ぺこりと頭を下げてこの場から一目散に逃げ出そうとした、けれど。


「待って」


その場から立ち去ることができなかったのは、腕を掴まれたせい。

はっとして顔を上げれば、神崎くんがわたしを見つめていて。
< 159 / 296 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop