【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
その瞬間、わたしはあまりの衝撃に失神しそうになった。
なにを隠そう、振り返ったのがわたしの推しである、神崎くんだったのだから。
どうしよう……!
お、推しに話しかけてしまった……!
「え?」
神崎くんの瞳にわたしが映っていることに気づき、一瞬で後悔が込み上げてくる。
見ず知らずの他人からお弁当を分けるなんて言われても、やっぱり迷惑だったかもしれない。
「す、すいません、差し出がましいこと言って……! 忘れてください……っ」
顔から火が出そう。
穴があったら入りたい……!
ぺこりと頭を下げてこの場から一目散に逃げ出そうとした、けれど。
「待って」
その場から立ち去ることができなかったのは、腕を掴まれたせい。
はっとして顔を上げれば、神崎くんがわたしを見つめていて。