【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
食べられる……。
そう思った瞬間、唇が離れた。
「っぃ、きなり、き、キスなんて……」
乱された呼吸が整わないまま小さく抗議すれば、藍くんの綺麗な指が再びわたしの顎を持ち上げた。
否応なしに視線が重なり合い、その視線に溺れそうになる。
「黙れよ」
赤く濡れた彼の唇が、わたしの唇をもう一度塞ぐ。
彼が口づけの角度を変えるたび、藍くんの前髪がわたしをくすぐっていく。
畳のひんやりした無機質な冷たさが背筋を冷やし、唇の熱が体中を熱くする。
息ができない。
一方的な深いキスについていくのに必死で、藍くんのブラウスを必死に握りしめる。