【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない

そして彼は「ごめん、先行ってて」と友人たちに言うと、再びわたしに向き直った。


「えっと、君は……」


彼が首を傾げたのに合わせ、さらさらな茶髪が揺れる。


「中町、由瑠です」

「中町さんか。俺は神崎朔。よろしくね」


明るい髪の下で、大きな瞳が弧を描いた。

一切の淀みを知らない夜空のような瞳は、どこまでも深く澄んで、吸い込まれそうになる。


「神崎、くん……」


知ってますとは口が裂けても言えない。

誕生日や血液型、身長まで知ってます、なんて。
< 160 / 296 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop