【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
そして彼は「ごめん、先行ってて」と友人たちに言うと、再びわたしに向き直った。
「えっと、君は……」
彼が首を傾げたのに合わせ、さらさらな茶髪が揺れる。
「中町、由瑠です」
「中町さんか。俺は神崎朔。よろしくね」
明るい髪の下で、大きな瞳が弧を描いた。
一切の淀みを知らない夜空のような瞳は、どこまでも深く澄んで、吸い込まれそうになる。
「神崎、くん……」
知ってますとは口が裂けても言えない。
誕生日や血液型、身長まで知ってます、なんて。