【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
「こんなにおいしいショートケーキを食べれる日が来るなんて。本当にありがとう……」
「どういたしまして。でも元はといえば、中町さんが俺にお弁当をくれたからだし。こちらこそありがとう」
お辞儀をし合ったわたしたちは、顔を上げて同時にふふっと吹き出す。
ゆったりとした心穏やかな時間が流れ、わたしは幸せを噛みしめる。
少し前までは、推しである神崎くんとこうして同じ時間を共有するなんて夢にも思っていなかった。
お弁当を一口口に運んで、神崎くんはわたしを見守る目を細めた。
「中町さんは甘いものが好きなんだね」
「うん、大好きなんです……!」
「自分でも作ったりするの?」
「自分では作らないかな。でもこの前、調理実習でカップケーキを作ったよ」
「へえ。おいしかった?」
「えっと、実は自分では食べてないの」