【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない

すると覚悟を決めたように小さく頷き、密さんが藍くんを見つめたまま口を開いた。


「実はね、藍が倒れたのは、強すぎる抗フェロモン剤を服用してたからだろうって、くろちゃんが」

「……え……」


一瞬、密さんの放った言葉の意味を、頭が理解するのに時間がかかった。

そして数秒後、理解が追いついた途端、ある予感にぞくりとした。


抗フェロモン剤とは、まわりが放つフェロモンに耐性をつけるための薬だ。

これを服用することで、フェロモンによって理性を失うことを抑制する。


だとすると、藍くんが強すぎる抗フェロモンを飲んでいたのは、フェロモンが不安定なわたしのせい……?


目の前が真っ暗になっていくのを感じた。

鼓動が嫌な音をたてて早鐘を打つ。
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