【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
「オレも知ってたんだ。藍が最近、副作用の強い抗フェロモン剤を飲んでたのは」
ぽつりぽつりと落とされていく密さんの声に、やりきれなさが滲む。
「身体によくないって止めようとしたんだ。でも藍は、発情した由瑠ちゃんのこと傷つけたくないからって。フェロモンで理性を失って由瑠ちゃんの首を噛まないように、って言ってた。もし自分が由瑠ちゃんの首を噛んだら、由瑠ちゃんが心から好きな運命の相手に出会えなくなるから……」
そこで、密さんが顔を上げてわたしを見た。
その顔には苦笑が浮かんでいて。
「藍はね、本当に不器用なヤツだけど、いつだってキミのことしか考えてなかったよ」
「……っ」
涙の気配で喉が詰まる。