【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない

わたしは屈み、眠る藍くんの頬にそっと手を添えた。


藍くんに触れた刹那、もう我慢ができなくなって、瞳から大粒の涙がこぼれた。


……ああ、わたし、こんなに藍くんのこと好きだったんだなあ。


愛おしい人。

愛おしいからこそ、藍くんには幸せでいてほしい。


「ごめんね、藍くん。もう大丈夫だからね。今までありがとう。好きだったよ、すごく好きだったよ」


涙で濡れた声を、そっと紡ぐ。


――さぁ、この恋心には透明な硝子の蓋を閉めるのだ。



< 189 / 296 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop