【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
わたしは屈み、眠る藍くんの頬にそっと手を添えた。
藍くんに触れた刹那、もう我慢ができなくなって、瞳から大粒の涙がこぼれた。
……ああ、わたし、こんなに藍くんのこと好きだったんだなあ。
愛おしい人。
愛おしいからこそ、藍くんには幸せでいてほしい。
「ごめんね、藍くん。もう大丈夫だからね。今までありがとう。好きだったよ、すごく好きだったよ」
涙で濡れた声を、そっと紡ぐ。
――さぁ、この恋心には透明な硝子の蓋を閉めるのだ。