【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない




発情が収まり、わたしはかかりつけの病院に行った。

結果はやはり、"特別体質"であることが確認された。


さらにわたしはフェロモンの分泌に少し異常があり不安定で、ほんの少しのきっかけで発情してしまうらしい。

発情は自分ではコントロールできない。


無理にフェロモンを抑え込むのは身体に負担があるらしく、気休め程度の弱い薬が処方された。

それを飲むことで、初めての時ほどの大量のフェロモンは出なくなるものの、完全に封じ込めることはできないとのことだった。


なんて身勝手で理不尽な体質だろう。


――『由瑠、ごめんね。お母さん、運命の番に出会ってしまったの』


思い出すのは、あの日のお母さんの声。


「なーに暗い顔してんだよ」


病院からの帰り道、つい眉間にしわを寄せ難しい顔をしていると、おでこをつんと小突かれた。

顔を上げれば、病院に付き添ってくれた藍くんが澄んだ瞳でわたしを見下ろしていた。
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