【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
厳格な家庭で育ち、両親は仕事ばかりで幼少期からろくな愛情を受けてこなかった俺は、その反動で見事にグレた。
愛されたくて、けどそんな弱さを見せる勇気もなくて、いろいろな女と本気にならないように遊んできた。
そして中2の時、俺は付き合っていた副担任に捨てられた。
『愛してる。私たちは運命で結ばれているのよ』
そう語っていたのに、ゴミを捨てるよりもあっさり残酷に。
今になって思えば彼女に抱いていたのは恋愛感情なんかではなく、受けることのなかった母性だったのだと思う。
だけどそんなことにも気づかないほど幼かった俺は、心を許していた大人に裏切られた怒りと虚無感で、さらにまわりに壁を作るようになった。
大人に反抗するように、仲間たちといくつもの悪いことを重ねた。
そうやって、自分がこの社会に存在していることを実感していたかった。