【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
『あー、あのいつも着けてるピアス? 藍ちゃんのお気に入り』
『そんなんじゃねぇわ』
仲間のうちのひとりがからかってきたが、正直手放せないでいるのは間違いではなかった。
あれは、高校入学祝で両親から贈られたものだった。
『ちょっと探してくるわ』
『おー』
そう断って、俺は来た道を戻る。
家を出て歩いてきた道を戻りながら、視線を巡らす。
けれどアスファルトを映す視界に、きらりと光るものはない。
10分ほど探して、ふと我に返る。
どこで落としたのかもわからない。
それを探し出すのなんて、無謀にもほどがある。