【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
ま、自分でまた買えばいいか。
ピアスなんてそこら中に掃いて捨てるほどあるのだし。
たったひとつに執着するなんて馬鹿らしい。
そう見切りをつけて、仲間の元に戻ろうとした時。
『あの、なにか探してるんですか?』
細い声が俺を呼び止めた。
振り返れば、小柄な女の子が立っていた。
目が大きくて、あどけない女の子――それが、由瑠との出会いだった。
不良を絵に描いたような出で立ちの俺に、彼女は怯えを隠しきれていない。
きっと勇気を振り絞って俺に声をかけてきたのだろうということは、目に見えてわかった。