【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
そして、由瑠の"特別体質"が発覚した。
"フェロモンが暴発しないように"という目的で、俺は再び由瑠に触れるようになった。
けれど俺は由瑠に軽蔑されている。
由瑠には好きな相手がいる。
それに由瑠のことを身勝手に傷つけた俺に、あんな顔をさせた俺に、運命の番になる資格はない。
愛だの運命だのなんて信じていなかった俺が、いつの間にかそれに囚われるようになっていた。
だから、これ以上好きにならないよう、深く踏み込まないようにしていたのに。
それなのに、触れるたび、名前を呼ばれるたび、笑いかけられるたび、心の内側の一番柔い部分に触れられるようで。
それが怖かった。
なぁ、そんなに簡単に俺の心に触れてくれるな。
好きな奴がいるってわかってるのに、お前の全部がほしくなるんだよ。