【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
*
どのくらい眠っていたのだろう。
突然意識のチャンネルが合って目を開けると、白い天井が映り、続いてひょっこりと見慣れた顔が覗き込んできた。
「あ! 藍! 起きた、よかった……!」
「密……?」
「藍、体育の途中で倒れちゃったんだよ? まじでオレ、驚いたんだから」
「悪い……」
言われて、靄のかかった記憶を思い出す。
バスケをしている途中で突然激しい頭痛と吐き気に襲われ、意識を失ったのだ。
肘をベッドに突いて上体を起こす。
ちらりと壁掛けの時計を確認すれば、今は5時間目の授業中。
体育の時間は4時間目だったから、1時間とちょっと、眠っていたことになる。