【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
テーブルの上のコップに手を伸ばし、空だったということを思いだす。
そしてその手が震えていることにも。
その時だった。
「あら、もう来てたのね」
頭上から声が降ってきたかと思うと、おばさんとおじさんがそこに立っていた。
10分も遅れてきたというのに、悪びれる素振りは一ミリもない。
わたしは慌てて立ち上がる。
「お久しぶりです……っ」
「なにかしら。わざわざ呼び出すなんて。あなたみたいに暇じゃないのよ?」
「ごめんなさい……」
小言を並べながら、おばさんとおじさんが向かいの席に座る。