【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
「"特別体質"ですって? やだ、うちの息子が誘惑なんてされたらたまったもんじゃないわ」
ぎゅうっと拳を握っているせいで、手のひらに爪が突き刺さる。
「親が親なら子も子ね。ふしだらな血が流れているのかしら」
耳を塞ぎたかった。
けれど無防備に受け止めてしまったせいで、心に深い傷がついた。
隣でおじさんも声を上げて嘲笑している。
わたしだけならよかった。
それなのに、お母さんのことまでそんな汚い言葉で侮辱されるなんて。
でも、無力なわたしにはなにも言い返せない。
この人たちは最後の頼みの綱なのだ。
反論すれば、さらに反感を買ってしまう。