【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
そこまで言ってふと、藍くんが黙り込んでいることに気づく。
こんなことを突然言い出して、やっぱり迷惑だったかな……。
番になるってことは、もちろん藍くんの気持ちが大事なわけで。
そういえば忘れていたけど藍くんは大財閥の御曹司。
わたしみたいなどがつくような庶民となんか、番になるはずもない。
「ご、ごめん、ずうずうしいこと言っ――」
慌てて謝ろうとした時。
その先を遮るように、藍くんがわたしの頬に手を添えた。
「ばか。俺だって一生もんの恋してんだよ、お前に」
こんなに大切そうに触れられたのは初めて。
藍くんの声が、鼓膜から身体じゅうに響き渡っていく。