【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
今朝、藍くんはクラスで話し合いがあるらしく、先に家を出てしまった。
けれどひとりで通学路を歩いていたって、わたしはずっと浮き足立っていて、行き交うサラリーマンや学生、OLの人たちみんなにおはようございますと言ってまわりたいくらいに幸せだった。
高校に着くなり、瑛麻ちゃんにも報告をした。
「ええ! ゆるるんと藍先輩が!?」
「じ、実はね、そうなの……」
机でファッション雑誌を読んでいた瑛麻ちゃんは、わたしの報告を聞くなり飛び上がった。
藍くんと付き合いだしたことに加え、わたしはこれまで秘密にしていた"特別体質"のことと、藍くんと番になったことも伝えた。
「ごめんね、"特別体質"のこと、今まで黙ってて……」
謝りながら、しょぼんとうなだれる。
こんな大切な存在に隠しごとをしていたことが、改めて心苦しく感じられて。
けれどそんなわたしを、瑛麻ちゃんは思い切りぎゅーっと抱きしめ、よしよしと頭を撫でてくれた。
「いいんだよ、いいんだよ! それよりゆるるんが運命の番に出会えたことが嬉しいよううう」
「ありがとう、瑛麻ちゃん」
わたしを包み込んでくれる優しい温もりに、思わずじんわりしてしまう。