【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
意地悪な藍くんのイタズラ




「今日も推しが尊い……っ」


数列先のテーブルで男子たちと談笑しながらミートスパゲティーを食べる神崎くんを拝んでいると、斜め向かいに座った瑛麻ちゃんの彼氏さん――流星くんが「ははっ」と笑い声をあげた。


「中町ちゃんの推し拝みタイムが始まった」


それはお昼休みのこと。

わたしと瑛麻ちゃん、そして流星くんは、3人で食堂でお昼ご飯を食べていた。


月に1回、瑛麻ちゃんとクラスの違う流星くんも一緒に、こうして食堂で学食を食べるという習慣があった。

いつもはスーパーでもらった残り物を持ってきているけれど、毎月この日だけは少し贅沢をして学食のメニューから昼食を選ぶ。


そして今日、食堂で昼食を食べていた時、偶然にも推しの姿を発見したのだ。


「そ、そうかな……」


カレーを食べることも忘れて、無意識のうちに胸の前で手を組んでいたわたしは、咄嗟にその手を下ろした。


無意識だったから、なんだか恥ずかしい。

でも、恍惚とせずにはいられなかったのだ。


ミルクティー色のサラサラの髪に、優しげなカーブを描く瞳。

品行方正とは、彼のためにある言葉だと思う。


神崎くんの存在は、毎日を頑張るための糧だと言っても過言ではない。

推しのおかげで、学生生活エンジョイ中なのです!
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