【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
まわりの女子たちも、藍くんを遠目に見てひそひそと話している。
「やっぱ藍って、この高校でぶっちぎりでかっこいいよね」
「競争倍率高すぎるけど、せめて藍の認知がほしい」
藍くんの話題は、いつだって校舎のあちこちで絶えない。
"学校中の女子は一度は千茅藍を好きになる"、なんて噂まで囁かれるほどだ。
そして当の本人はと言えば。
「ユカちゃん、今日も可愛いね」
「きゃあっ。藍も今日もビジュ良すぎ!」
「あ。ミナちゃん、髪型変えた?」
「え! 気づいてくれたの!? やばい、今日命日かも……!」
歩くフェロモン恐るべし。
へらへらと愛想を振りまき、片っ端からまわりの女の子たちの目をハートにさせている。