【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
すると藍くんが顔をがくんとうつむけ、はーっと大きなため息を吐き出した。そして。
「俺を殺す気?」
なにかを押し殺すような声に、わたしはきょとんと藍くんを見た。
目の前の藍くんの瞳には、ほの暗い光が灯っていて。
「俺の理性、試してんの? 」
「え?」
藍くんは甘い声でそう囁いたかと思うと、わたしの首元に顔を埋めた。
「うぁっ、ひゃあ……」
「お前はほんとにかわいーね」
思わずワントーン高い声が唇の隙間から漏れてしまう。
けれど悪魔な藍くんは、それをくすりと笑うのだ。
じり、と後ずさりしたいのに、わたしの背に当たるのは無慈悲なドア。