【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
藍くんの温もりに包まれて
「ありがとうございました。またお越しくださいませ」
レジでお会計をし、お客様にお辞儀をする。
レジ打ちの一連の動作はすっかり身体にしみついたものだ。
引っ越し前は休みの日もなく毎日バイトをしていたから、このスーパーでもすっかりベテラン扱いを受けるようになっていた。
最近は無人レジがぐんぐん勢力を伸ばしているけれど、小さな個人経営のこのスーパーでは当面レジ打ち係が必要そうだ。
働く場所がなくなってしまったら困るからちょうどいいのだけど。
人の波が途切れて、わたしはふうと息をつく。
なんだか身体がだるい。
体育の時間にバレーボールに熱中してしまったから、身体が少し疲れているみたい。
立ちっぱなしで固まってしまった背筋をほぐすように、小さく伸びをした時。
「おかあさーん、お菓子買って~」
レジの向こうで、小さな女の子の声が聞こえてきた。