【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない

すると、腕を枕代わりにして天井を見つめていた藍くんが、ふとこちらを見た。

暗がりの中で、彼の瞳が揺らめく。


「大変だったんだな」


その瞳はあまりにまっすぐだった。

笑いもしなかった。哀れみもしなかった。

ただ、わたしの心の中の声を見つめてくるようだった。


まっすぐに射抜かれ、わたしは一瞬言葉を詰まらせる。


「……っ、そう、かな」

「お前は頑張ったよ」


なんでだろう……。

その言葉に、目の奥をじんと刺激された。

こんな時ばかり優しいなんてずるい。


そしてすごく、惜しいなとも思った。

今、暗がりの中にいることが。

だって、今の藍くんの表情はきっととても綺麗だった、そんな気がするから。
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