【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
「……藍くん、わたしに手を貸してくれないかな」
それは、ほんのダメ元で。
隣に人がいる温もりを実感したくて。
空気に溶かすようにそっと問う。
すると返ってきた藍くんの答えは意外なものだった。
「ん、好きにすれば」
そう言って、なんてことない感じで手を差し出してくる藍くん。
だめだと言われるとしか思っていたわたしは思わずへらっと破顔して、布団から出した手を伸ばし、その手をそっと握った。
藍くんの温もりを直に感じていると、ひどく安心する。
男らしく骨張った細い手は、わたしの手のひらの中でされるがままだ。