The previous night of the world revolution~F.D.~
30分くらい、タクシーで移動して。

辿り着いたのは、出来たばかりの真新しい施設だった。

俺も見たことがない場所だ。

「到着しました。どうぞ、降りてください」

俺とマリーフィアはタクシーから降りて、その施設の前に立った。

「いつか、あなたをここに連れてきたいと思っていたんです」

ルアリスは、俺の顔を見つめながら言った。

…俺を?

「完成したらご招待しようと思っていたんですけど…。図らずも、あなたをここに連れてくる機会に恵まれましたね」

「ルアリス。ここは…?」

「ここは、『箱庭帝国革命記念資料館』です」

と、ルアリスが言った。

…革命記念資料館?

「…革命、記念?どういうことですの?」

こてん、と首を傾げるマリーフィア。

「マリーフィア殿は、箱庭帝国の歴史をご存知ですか?」

「歴史…?さぁ、そこまで詳しくは…。確か、憲兵軍?でしたっけ。ずっと国を治めていたんですわよね」

憲兵局だよ。前言っただろ。

「憲兵局です。長い間ずっと、箱庭帝国を支配していたんです」

「そうなんですのね」

「しかし、今から数年前に革命軍…『青薔薇十字軍』が組織され、彼らが憲兵局政府を打倒したことで、憲兵局が握っていた政権を奪還したんです」

…そんなこともありましたね。

俺も、自分のことのようによく知ってますよ。

「まぁ。革命軍…?随分野蛮な軍隊ですのね」

ルアリスにとっては武勇伝に等しい出来事なのに。

事情を知らないマリーフィアにとっては、革命軍は「政府を打倒した野蛮な軍隊」扱いなのか。

お前は、自分の無知を晒すのが恥ずかしくないのか?

「野蛮じゃありませんよ、マリーフィア殿。むしろ、野蛮だったのは憲兵局の方なんです」

「でも、長い間国を守ってきた政府の方々に反抗したんでしょう?」

革命軍のことを、国を乱した悪のような扱い。

ルアリスに対する名誉毀損ですよ、これは。

ついでに、俺に対してもな。

「それは、そうなんですけど…。でも、それなりの理由があってのことなんです。どうぞ、こちらに」

ルアリスは、革命記念資料館に俺とマリーフィアを案内した。

「ここに展示されているものを見たら、この国の歴史をご理解いただけると思います」

建設中と聞いていたが、資料館の中は、既にいつ開館しても問題無いほどに整っていた。

成程。プレオープン中だって言ってましたもんね。

俺とマリーフィアは資料館の中を、ルアリスの案内で、順路に沿って見て回ることになった。

革命軍のリーダーに案内してもらえるなんて、こんな機会滅多にありませんよ。
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