The previous night of the world revolution~F.D.~
「革命軍はルティス帝国に助力を求め、資金援助や武器の調達を手伝ってくれたんです」
それは帝国騎士団がやったことだな。
「そうだったんですのね。わたくし達の祖国が、革命に協力していたなんて。我が国の帝国騎士団が誇らしいですわ」
両手を胸の前でぱちんと合わせ、自慢げなマリーフィア。
偉そうに言ってるけど、あなたの功績じゃないんで。
それと、その言い方には語弊があるぞ。
確かに、帝国騎士団も革命軍に協力したけれど。
協力したのは、帝国騎士団だけではないということを忘れるな。
「勿論、帝国騎士団の皆さんにも大恩がありますが…。彼らだけじゃありません」
そしてルアリスは、当然そのことを忘れてはいなかった。
当たり前だよなぁ?
目の前にいるんだから。革命軍に協力した功労者が。
「ここに展示されているものは、あの革命の中から切り取ったほんの僅かだけ…。帝国騎士団だけではなく、多くの心優しい、勇気ある人々が協力してくれたんですよ」
「あら。そうなんですの?」
「えぇ、そうです。彼らが箱庭帝国の為にしてくれたことを、革命軍に参加した誰もが忘れないでしょう」
…そうであって欲しいと思いますよ。心からね。
それと、当然ルアリスは忘れてないと思いますけど。
「革命が成功した後も、憲兵局の残党と一悶着あったんですよね」
俺はにっこりと微笑み、ルアリスにとって思い出したくないであろうことを口にした。
「うっ…。そ、そうでしたね…」
目が泳いでますよ。
「…?一悶着?革命は成功したんでしょう?」
事情を知らないマリーフィアが、首を傾げていた。
それを良いことに、俺はわざとらしく続けた。
「えぇ。でも革命軍は、憲兵局の残党を取り逃がしていたそうです。その残党が…えーと、ルアリスさん。なんて言いましたっけ?あなたは当然覚えてますよね?」
「…『愛国清上会』ですね。覚えますよ…」
「そうそう。彼らがルティス帝国で暴れて、その界隈の方々は大変だったそうですよ。そりゃもう、血で血を洗う死闘を繰り広げたとか…」
「うぐっ…。そ、その節は誠に…申し訳なく…」
「いやはや。憲兵局の残党を倒した人達に感謝しないといけませんね。足向けて寝られませんよ。ねぇルアリスさん」
「…本当に…。そうですね…」
いやぁ、誰のことでしょうね。
俺とルアリスの、いかにも含みのある会話も。
頭の鈍いマリーフィアは全く気づくことなく、興味深そうに展示物を眺めていた。
この資料館に、『青薔薇連合会』に関する展示物は一切置いていなかった。
どころか、『青薔薇連合会』の「あ」の字も記載されていなかった。
帝国騎士団ならともかく、他国のマフィアが革命に参加した、などとは口が裂けても言えないからである。
今でも、箱庭帝国の革命について調べても、『青薔薇連合会』の名前は一切出てこないよう、厳格な情報統制を敷いている。
だが、俺もルアリスも、あの革命軍に参加していた全ての人々が知っている。
「あの革命は、決して箱庭帝国の国民達だけで成し遂げたことではありません。国籍関係なく、革命に協力してくれた全ての人々への感謝と畏敬を込めて、そして二度と革命が起きる国にしてはいけないという戒めを込めて、『青薔薇委員会』は、この施設の建設を計画したんです」
最後に、ルアリスはそう締め括って、今日の観光を終えた。
いやはや。ご立派なことで。
それは帝国騎士団がやったことだな。
「そうだったんですのね。わたくし達の祖国が、革命に協力していたなんて。我が国の帝国騎士団が誇らしいですわ」
両手を胸の前でぱちんと合わせ、自慢げなマリーフィア。
偉そうに言ってるけど、あなたの功績じゃないんで。
それと、その言い方には語弊があるぞ。
確かに、帝国騎士団も革命軍に協力したけれど。
協力したのは、帝国騎士団だけではないということを忘れるな。
「勿論、帝国騎士団の皆さんにも大恩がありますが…。彼らだけじゃありません」
そしてルアリスは、当然そのことを忘れてはいなかった。
当たり前だよなぁ?
目の前にいるんだから。革命軍に協力した功労者が。
「ここに展示されているものは、あの革命の中から切り取ったほんの僅かだけ…。帝国騎士団だけではなく、多くの心優しい、勇気ある人々が協力してくれたんですよ」
「あら。そうなんですの?」
「えぇ、そうです。彼らが箱庭帝国の為にしてくれたことを、革命軍に参加した誰もが忘れないでしょう」
…そうであって欲しいと思いますよ。心からね。
それと、当然ルアリスは忘れてないと思いますけど。
「革命が成功した後も、憲兵局の残党と一悶着あったんですよね」
俺はにっこりと微笑み、ルアリスにとって思い出したくないであろうことを口にした。
「うっ…。そ、そうでしたね…」
目が泳いでますよ。
「…?一悶着?革命は成功したんでしょう?」
事情を知らないマリーフィアが、首を傾げていた。
それを良いことに、俺はわざとらしく続けた。
「えぇ。でも革命軍は、憲兵局の残党を取り逃がしていたそうです。その残党が…えーと、ルアリスさん。なんて言いましたっけ?あなたは当然覚えてますよね?」
「…『愛国清上会』ですね。覚えますよ…」
「そうそう。彼らがルティス帝国で暴れて、その界隈の方々は大変だったそうですよ。そりゃもう、血で血を洗う死闘を繰り広げたとか…」
「うぐっ…。そ、その節は誠に…申し訳なく…」
「いやはや。憲兵局の残党を倒した人達に感謝しないといけませんね。足向けて寝られませんよ。ねぇルアリスさん」
「…本当に…。そうですね…」
いやぁ、誰のことでしょうね。
俺とルアリスの、いかにも含みのある会話も。
頭の鈍いマリーフィアは全く気づくことなく、興味深そうに展示物を眺めていた。
この資料館に、『青薔薇連合会』に関する展示物は一切置いていなかった。
どころか、『青薔薇連合会』の「あ」の字も記載されていなかった。
帝国騎士団ならともかく、他国のマフィアが革命に参加した、などとは口が裂けても言えないからである。
今でも、箱庭帝国の革命について調べても、『青薔薇連合会』の名前は一切出てこないよう、厳格な情報統制を敷いている。
だが、俺もルアリスも、あの革命軍に参加していた全ての人々が知っている。
「あの革命は、決して箱庭帝国の国民達だけで成し遂げたことではありません。国籍関係なく、革命に協力してくれた全ての人々への感謝と畏敬を込めて、そして二度と革命が起きる国にしてはいけないという戒めを込めて、『青薔薇委員会』は、この施設の建設を計画したんです」
最後に、ルアリスはそう締め括って、今日の観光を終えた。
いやはや。ご立派なことで。