The previous night of the world revolution~F.D.~
仲間達にたくさん祝福してもらえて、それは大層嬉しいのだけど…。

「…これで、ルルシーがウエディングドレスを着ててくれたら、何も言うことなかったんですけどね…」

それだけが残念である。…そりゃあもう、非常に残念。

「俺のイメージする結婚式では、俺が黒いタキシードを着て、ルルシーが素敵な黒いウエディングドレスを着て、ブラックダイヤの結婚指輪を交換して、黒いウエディングケーキを二人で切って、黒いブーケを投げるのがお決まりだったのに…」

「ルレイア、元気出して…!」

ありがとう、シュノさん。

これが、俺の夢の…理想の結婚式だったんです。

「…ツッコミ所は色々あるが、黒いウエディングケーキっていうのは、シェルドニア王国製じゃないだろうな」

ルルシーがボソッと呟いているけど、まぁそれは聞こえなかったことにして。

「大体、普通の結婚式は白なんだよ。白いタキシードに白いドレス。お前も分かってるだろ?」

「分かってますよぅ…」

だから妥協するつもりですよ。非常に不本意ですけどね。

「そもそも、今日の『コレ』は…祝福するようなことじゃないだろ」

「でも、ルレ公の結婚式なのは事実だろ?」

と、アリューシャ。

「それはまぁ…そうだけど…」

「じゃ、祝おうぜ。今日はしゅくほーだな!…しゅくほーって誰に撃てば良いんだ?ルレ公?」

「祝砲は人に向けて撃つものじゃないからね、アリューシャ。ライフルを出すのはやめようか」

アリューシャにライフルを向けられたら、さすがの俺も国外逃亡を考えますよ。

「それにしても、惜しかったな。ルレイア先輩の結婚相手が、順当にルルシー先輩だったなら…素直に祝福出来たんだがな」

「そうですね。僕は圧倒的BL支持者なので、NLと聞いた時は非常に萎えました」

「…真顔で何言ってんだ、お前…」

ちょっとルルシー。ドン引きはやめてあげてくださいよ。

俺だって圧倒的ルルシー支持者ですから、結婚するならルルシーとが良かったですよ。

でも、そうは行かないんだから仕方ないじゃないですか。

すると、そこに。

「あぁ良かった、ルレイア。まだ出発してなかったわね」

「あ、アシュトーリアさん」

我らが『青薔薇連合会』の首領、アシュトーリアさんがやって来た。

「どうしたんですか?わざわざ…」

「見送りに来たのよ。ルレイアが結婚してしまったら、しばらく会えなくなるでしょう?」

まぁ、そうですね。

何せ俺は、今日限りで『青薔薇連合会』を卒業し。

再びルティス帝国上級貴族、ウィスタリア家の次男として、表社会に戻って生きていくのだから。
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