The previous night of the world revolution~F.D.~
第7章
翌日。

カミーリア家に来て、二日目の朝。

朝食の席でマリーフィアに会った俺は、早速、昨夜(正確には今日だが)のことを話した。

「マリーフィアさん。実は昨夜、メリーディアお義姉さんに会ったんです」

「えっ、お姉様に?」

マリーフィアはびっくりして、フォークとナイフを動かす手を止めた。

どうでも良いけどこの女、朝からメープルシロップとチョコシロップたっぷりのパンケーキを食べてる。

太るぞ。

「はい。実は眠っている間に喉が渇いて、お水をもらいにキッチンを探してたんですが…その途中で」

「まぁ…。お姉様ったら、そんな真夜中に何をしてたんでしょう」

さぁ。俺が怪しい動きをしないか、見張ってたんじゃないですか?

「ご挨拶したかったんですけど、どうも、俺は疑われているようで…」

俺は、昨夜のメリーディアとのやり取りを、包み隠さずマリーフィアに話して聞かせた。

後でバレて、疑いの種を残したくないからな。

それならいっそ、自分の口から打ち明けておいた方がマシ。

告げ口。

「まぁ、お姉様がそんなことを…?」

「はい。初対面なのに、凄く険悪な雰囲気で…。…俺としては、お義姉さんと仲良くしたかったんですけどね」

「そうですわよね…。ごめんなさい、ルナニアさん…。お姉様は、昔から内気で、あまり人と打ち解けるのが上手じゃありませんの」

言い方はオブラートに包んでますけど。

要するに、陰キャのコミュ障だと?

俺とは正反対ですね。

「それにしても、ルナニアさんにそんな酷いことを言うなんて…。ごめんなさいね、気を悪くしないでくださいな」

「えぇ、大丈夫ですよ…。でも、失礼を承知で言わせていただきますと…お義姉さんとマリーフィアさん、あんまり似ていませんね」

これは、嘘偽りのない素直な感想である。

昨夜、初めて見た時から思った。

この俺が、女の顔を見間違えるはずがないだろう?

マリーフィアに比べて、メリーディアは性格もキツそうだし、喋り方も「ですわ」じゃなかったし。

顔のパーツも、姉妹とは思えないほどに違っていた気がする。

すると。

「えぇ、そうだと思いますわ…。わたくしとお姉様は、腹違いの姉妹ですから」

とのこと。

へぇ。

「腹違い…。そうなんですか?」

「えぇ。わたくしは、亡くなったお父様の正妻の娘で…あ、昨日ルナニアさんがお会いしたお母様のことですわ」

「はい」

ユリーフィアとかいう女だろう?昨日、お土産のブローチをプレゼントした中年女。

「でもお姉様は、お父様の…その、別の恋人の方との…」

「…そうなんですね」

言葉を濁したが、つまり、メリーディアは妾の子ってことだな?

結婚式にメリーディアが参列しなかった理由が、それか。

妾の子を、公の場に出すのは体裁が悪いから。
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