The previous night of the world revolution~F.D.~
――――――遡ること、およそ一ヶ月前。

その日、俺はいつも通り…。

…ルルシーの執務室で、幹部組の皆と戯れていた。

その日、ルルシーは取引先との会議があるとかで、執務室にはいなかったのだけど。

ルルシーがいようといまいと、ルルシーの執務室には、自然と仲間達が集う。

そういうことになっているのだ。

そんな訳で今日も、部屋主がいない間に皆でたむろしている。

「じゃーん、これ見てください」

俺は、自慢げにキャリーケースの中を開けた。

「何々?それなぁに?ルレイア」

「何だ何だ?食べ物か?」

興味津々で、シュノさんとアリューシャが食いついた。

「残念ですね、アリューシャ。食べ物ではないんです」

「なーんだ、つまんね。じゃーいーや」

興味を失うのが早いですね、アリューシャ。

もうちょっと興味を持ってくださいよ。

「食べ物じゃないですけど、でも、良い匂いがしますよ」

「お?マジ?」

良い匂いと聞いて、再び興味を持ったのか、こちらを振り向くアリューシャ。

「ほう。フレグランスボールの元祖開発者として、良い匂いと聞いて無視は出来ないな」

「良い匂い…それってアレですか。噎せ返るようなダンディな香りですか…?」

ルリシヤとルーチェスも寄ってきた。

良いですよね、噎せ返る男性の香り。

俺もルルシーの匂い、大好物ですから。その気持ちはよく分かります。

控えめに言って最高。

「それ…香水のサンプルかな?」

キャリーケースに詰められた、小さなガラス瓶の数々を見て、アイズが尋ねた。

さすが。
 
「ご明察です、アイズ…。俺、今度帝都でルレイア・香水ブランドを起ち上げて、香水の専門店を開くことになったんです」

『ブラック・カフェ』で一儲けしたことだし。

新しいビジネスを開拓する為に、今度は香水という分野にチャレンジすることにした。 

いつだって、新しいビジネスチャンスを狙って行く。

いやぁ、起業家の鑑ですね。俺は。
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