The previous night of the world revolution~F.D.~
「…という訳で、今日はここで香水のサンプルをテイスティングしてるんだよ」

「成程、そういうことだったか…」

お分かりいただけましたか、ルルシー。

ね?俺だって、何の理由もないのにルルシーの部屋にやって来たりしませんよ。

ちゃんと、れっきとした理由が…。

「俺の部屋である必要はないな。本部の会議室を使えば良いだろ。今すぐ出ていけ」

いやん、ルルシー。

もう、恥ずかしがり屋さんなんだから。

「ルルシーも嗅いでみてくださいよ。そして感想を聞かせてください」

「出ていけって言ってるだろうが。俺の部屋にこれ以上、ルレイアの香水の匂いを染み付かせるな。スメハラだぞ」

「はいはい、もーシャイなんだからルルシーは。はいっ」

「ちょっと待て。誰がシャイ、うぶっ」

俺は、香水のサンプルを染み込ませたムエット紙をルルシーの顔に押し付けた。

「な、何す、」

「どうですか。俺が監修したオリエンタルノートの香水なんですよ」

「…ルレイアの匂いがする」

ルルシーは、顔をしかめてそう言った。

つまり、官能的で刺激的な香りってことですね?

「良い匂いでしょう?」

「いや…良い匂いかどうかは…。俺はもっと、爽やかで上品な香りの方が…」

「特別な夜に、特別な人とベッドに入る時につける香り、というコンセプトなんですよ」

「…いかにも、って感じだな…」

嗅ぐだけでクラっと来るでしょう?

これがルレイア・ブランドの香水です。

いやぁ、とっても素敵な香り。

「他の皆さんはどうです?」

「ルレイアらしい、素敵な香りだと思うわ」

「よく分かんねーけど、ずっと嗅いでたら鼻がおかしくなりそうだな」

シュノさんとアリューシャの感想である。

「良い匂いだとは思うけど、用途が限定的過ぎて普段遣いは出来ないね」

「ふむ。相当甘さが際立ってるな。使う人を選ぶタイプの香りだ」

「僕は好きですけどね。癖になりそうで」

アイズ、ルリシヤ、ルーチェスの感想である。

ほう。そうですか。貴重な意見をありがとうございます。

「じゃあ、次はこっち。どうですか?」

俺は二つ目の香水をムエット紙に染み込ませ、全員に配った。

「おい、ルレイア。勝手に話を進めようとするんじゃない。お前らまとめてこの部屋から出ていけって、さっきから何度も、」

「どうですか?ルルシー、その香り。忌憚なき意見を聞かせてください」

「…。…ぶっちゃけ、最初のとあんまり違いが感じられないな」

諦めたのか、ルルシーはムエット紙に顔を近づけて匂いを嗅ぎ、意見を述べてくれた。

そうですか。

「こっちも良い香り。ルレイアらしい素敵な香りだわ」

「んー…。やっぱり鼻が曲がりそう」

シュノさんとアリューシャの意見がこちら。

「一つ目の香水と比べて、スパイシーな香りだね。エキゾチックな香りだ」

「トップノートが強烈過ぎて、一つ目の香水より更に使う人を選びそうだな」

「僕は好きですよ。場末の娼婦がつけてそうな派手な香り。とても妖艶です」

アイズとルリシヤ、ルーチェスの感想である。

成程、ありがとうございます。
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