The previous night of the world revolution8~F.D.~
第8章
その日、俺はマリーフィアに誘われ。

カミーリア家の中庭で、一緒に午後のティータイムを楽しんでいた。

「…それでですね、お友達が教えてくれたんですの。帝都に、新しい香水屋さんが出来たって」

「へぇ、そうなんですか…。どんな香水屋なんですか?」

「何でも、とても変わった香水が置いてあるんだそうですわよ。どれも黒い香水ばかりで、独特な香りがするんだそうですわ」

それ、もしかしなくても俺の香水店ですね。

「わたくしも、ちょっと嗅がせてもらったんですの」

「どうでした?良い匂いだったでしよう?」

「目の前がくらくらするような匂いで、わたくしはあまり好きじゃありませんでしたわ」

何だと、この野郎。

貴様の部屋の芳香剤、こっそり俺の店の香水にすり替えておいてやろうか。

「でも、お友達はその匂いがお気に入りだそうで、そのお店の香水を何種類も買ったそうですわ」

お買い上げありがとうございます。

いやぁ、その友達は分かってますよ。

「わたくしはもっと、甘いお花の香りが好きなんですの」

「そうなんですか。マリーフィアさんは確かに、フローラル系の香りが好きそうですね」

いかにも少女趣味って感じしてるもんな。

全く、面白みもクソもない…。

「これまでわたくし、あまり香水には興味がなかったんですの。でも、今度は香水にこだわってみても良いかもしれませんわね」

「そうですね」

お前は香水にこだわる前に、真面目に大学に行け。話はそれからだ。

…などと、超絶つまらない会話をしていた俺達のもとに。

「…あぁ、あなた達。ここにいたんですのね」

「あら、お母様」

姑であるユリーフィア母が、中庭にやって来た。
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