The previous night of the world revolution~F.D.~
すると、ルレイアと電話が繋がっていることを知ったアリューシャが、後ろから大声で、

「ルレ公、ルレ公〜っ!今なー!ルー公にガキンチョ6人生まれて、アリューシャがケッコンサギに遭って、シュー公が財布落として、ルリ公が食パン咥えて結婚したんだぜ!」

と、叫んでいた。

うるせぇぞアリューシャ。

事情を知らないルレイアからしたら、「はぁ?」と思ってるだろうな。

しかし、我が相棒は聡かった。

『へぇ。人生ゲームですか?楽しそうですね』

凄いなルレイア。それだけでこっちが人生ゲームやってるって分かるのか?

お前もここで、一緒に人生ゲームに参加してくれてたらな。

俺の心労も、もっとぐっと減っただろうに。

「ルレイア…。…大丈夫か?」

俺は、ずっとルレイアに聞きたかったことを、一番に聞いた。

貴族の家に閉じ込められて、不自由な思いをしてるんじゃないかって。

心配で、気が気じゃなかった。

「実はあんまり元気じゃないんです」とか言い出したら、誰が何と言おうと、俺は今すぐカミーリア家に、ルレイアに会いに行く。

しかし、そんな俺の心配をよそに。

『えぇ、大丈夫です。元気ですよ』

とのこと。

…本当だろうな?あいつ、無理してても無理してないって主張するからな…。

ともあれ、虚勢を張るだけの元気はあるってことで。

それは安心した。良かった。

「そうか…。で、今日はどうしたんだ?いつもの定期連絡はメールで…」

『そりゃもう、愛しいルルシーの声を聞きたかったからですけど』

「…」

ごめん。折角なんだけど、この電話切っても良いかな。

良いか、俺は真面目に話してるんだぞ。真面目に。

ふざける余裕があるのは良いことだけど、そういうのは今は遠慮するよ。

『ちょっと、ルルシー?聞いてます?』

「…聞いてるよ…」

『それに、一つ報告がありまして。あ、皆さん後ろで聞いてます?』

「…聞いてるよ…」

皆いるよ。

アリューシャもシュノも、ルレイアからの電話と知って、二人共うきうきしている。

『そうですか。じゃあご報告しますね。実は俺、この度、晴れて…』

…晴れて?

『帝国騎士団に戻ることになりました!はい、拍手〜』

…は?

俺は、持っていたスマホを床に落っことした。

あ、ごめん。画面にヒビ入ったかも。

慌てて拾い上げると、幸いにも画面は無事だった。

「うぉぉ!よく分かんねぇけど、ルレ公おめっと〜!」

「ルレイア、嬉しそう…。良かった、おめでとう」

「ほう、それはまた大抜擢だな。おめでとう、ルレイア先輩」

「人生で二度も帝国騎士をやるなんて、ルレイア師匠は人生ゲームより波乱万丈な人生ですね」

全くだな。

…って、感心してる場合かお前ら。
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