The previous night of the world revolution~F.D.~
「あなたがどう思おうと、俺はメリーディアさんのことも信じてますよ」

「どうして…そこまで…」

ほう?

「マリーフィアさんが、俺に信じさせてくれたからです。自分なんてどうしようもない存在だと思ってたけど、そんな自分を愛してくれる人がいる。世の中は、捨てたものじゃないって」

今、俺、「マリーフィアさんが」って言いましたけど。

その部分、「ルルシー」に脳内変換してください。そうしたら真実です。

「だから、自分を捨てた帝国騎士団のことも、もう一度信じてみることにしたんです。そう思わせてくれたのは、マリーフィアさんのお陰なんです」

「…」

「すぐには信じられなくても良い…。でも、いつかメリーディアさんも、俺のことを信じてください。いつかそんな日が来るって、俺も信じて待ってますから」

最高に素敵な、「業務用」の笑顔を浮かべてそう言うと。

メリーディアは目を見開き、希望を称えた眼差しでこちらを見ていた。

…ふっ。チョロいな。

あの妹あって、この姉ということか。

じゃ、ここいらが引き際だな。

「…それじゃあ、行ってきますね」

「え…えぇ…」

俺は最後にもう一度、にっこり微笑んでから。

メリーディアに手を振って、カミーリア家の屋敷を後にした。

歩いていく俺の背中を、メリーディアはいつまでも、見えなくなるまで見つめていた。
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