The previous night of the world revolution~F.D.~
「…あんたも来たのか」

ジュリスさんは、俺の隣にいるルルシーに視線を移した。

呼び出しを受けたのは俺だけで、ルルシーに声はかかっていなかった。

まるで邪魔だと言わんばかりじゃないですか。失礼な。

「俺がルレイアに頼み込んだんだ。ルレイアは悪くない」

すかさず、ルルシーが俺を庇うようにそう言った。

そう。ルルシーのいつものアレが炸裂したんですよ。

「お前が行くなら、俺も行く」っていうアレがね。

今日ルルシーが一緒に来たのは、それが理由だ。

「俺が邪魔なら、俺のことは置き物くらいに思ってくれて良い。口は出さないから」

「いや、そうじゃない。別にあんたがいても構わねぇよ」

とのこと。

それは良かった。ルルシーが置き物になっちゃったら、俺が寂しいですからね。

「それより、早いところ本題に入らせてもらうぞ。…俺としても、あんたらと会って話すのは、氷の上を歩いてるようなもんだからな」

そう言われるのは心外ですね。

「大通りのど真ん中を歩いてる気分で、安心してくれて良いですよ」

「…暴走機関車にそう言われても、全然安心出来ないだろ」

ちょっとルルシー。何言ってるんですか。

俺がいつ暴走したって言うんですか。ねぇ?

ちょっとやんちゃしただけじゃないですか。

…まぁ良い。ジュリスさんもじれったそうにしていることだし。

さっさと本題に入るか。

「…それで?メール、読みましたけど。あれってどういうことなんです?何かの隠喩ですか?」

昨日、ジュリスさんから届いたメール。

内容は、実にシンプルだった。

「『ローズ・ブルーダイヤ』について、話したいことがある」これだけ。

あとは、この場所の住所と日時が記されていただけたま。

「いいや、言葉通りの意味だ」

「そうですか。じゃあ詳しく聞きましょう」

「これが、俺の手元に流れてきた」

と言って、ジュリスさんは手のひらサイズの、小さなジュエリーボックスをテーブルの上に置いた。

…これは…。

「何だ…?」

ルルシーが、眉をひそめながらそのジュエリーボックスを見つめた。

「ジュリスさん、それは?」

「これが、『ローズ・ブルーダイヤ』なんだそうだ」

「…!何だって…?」

淡々と語るジュリスさんに、ルルシーは驚きを隠せないようだったが。

俺はある程度、こうなることを予想していたので驚きはしなかった。

ジュリスさんがわざわざ呼びつけてくるんだから、このくらいは想定内ですよ。

「ジュリスさん。あなたはその箱の中身を確認したんですか?」

「いいや、残念ながら見てない。…見られるはずもないからな」

「でしょうね」

これも想定内。

まぁ、大方そんなことだろうと思いました。
< 21 / 522 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop